革ができるまで
【革ができるまでの工程】革をなめす前の下準備とは?
2017.10.20
動物の皮は、なめしなどの様々な工程を経て革になります。
タンナーは、革の厚みや手触り、見た目など、求められる革の要素にあわせ、最適な方法を組み合わせて革を作りあげます。
それぞれのタンナーには得意な分野や独自の方法がありますが、大まかな製革工程はほぼ同じです。
今回は、革ができるまでの22の工程のうち、原皮の状態からなめし前までを順番にご紹介します。
革ができるまでの工程: ①原皮〜⑧なめし前
①原皮
原皮は、主にアメリカやヨーロッパ、アジアなどから輸入されます。 もちろん、国内産のものもあります。 腐らないように塩漬けされた状態で入ってきます。②水漬け・背割り
水漬け
塩漬けされた原皮には、動物の毛や血肉、汚物などが付着しています。 これらを洗い流して水分を補い、生皮の状態に戻します。 こうすることで、後の薬品処理の工程をスムーズに行うことができます。背割り
牛や馬などの面積の大きな皮は、作業しやすいように一等分の皮を背筋に沿って半分に分けます。 この作業を「背割り」といいます。 背割りのタイミングはタンナーによって異なります。③裏打ち
フレッシングマシン(裏打機)という専用の機械を使用して、皮の肉面(裏面)に付着している肉片や脂肪を削り取ります。 タンナーによっては、石灰漬けの後に行うこともあります。④脱毛・石灰漬け
石灰漬けにして皮のコラーゲン繊維をほぐします。 石灰乳に浸漬して、残っている毛や脂肪、表皮層を分解除去します。 こうすることで、皮革独特の柔軟性を得ることができます。 この時、毛を抜き取った面が皮の表面となり、銀面と呼ばれます。⑤分割
スプリッティングマシンという機械を使用して皮を銀面(表面)と床面(裏面)の2層に分割します(なめした後に分割することもあります)。 皮革の厚さを調整する作業でもあります。 銀面は、皮革製品に、床面は皮革製品の他に、工業用・医療用コラーゲン繊維として多方面に使用されます。⑥再石灰漬け
ここて、④の工程と同じく再び石灰漬けを行います。 石灰乳に浸漬させ、アルカリの作用で皮のコラーゲン繊維の絡みをほぐします。 特に、ソフトな風合いの革やスエード調の革を作る際には、必要不可欠な工程です。⑦脱灰・酵解
脱灰(だっかい)
脱毛、石灰漬け、再石灰漬けで皮の中に残った石灰を取り除く工程です。 石灰で強アルカリ性に傾いた皮を中和して、後のなめしの工程に備えます。酵解(こうかい)
酵解は、ベーチングとも呼ばれています。 石灰漬けでも取り除けなかった毛穴やタンパク質分解物、脂肪などを、タンパク質分解酵素を使用して分解除去します。 こうすることで銀面がなめらかになります。⑧浸酸
クロムなめしの場合、塩基性硫酸クロム塩という酸性の薬剤を使用します。 なめし作業の前に皮を酸性の溶液に浸漬することで、なめし剤を吸収しやすい状態にします。まとめ
不要なものを取り除いて皮の繊維を解し、phを調整してなめし剤が浸透しやすい状態にする、ここまでがなめしの下準備ともいえる工程です。 こういった下処理や準備は、この後のなめし工程をスムーズに行うためだけでなく、出来上がりの革の品質にも関わる大切な作業です。 次は、製革の要ともいえる、なめし工程について詳しくご紹介します。 なめすことで、皮は腐りにくく柔軟で、耐熱性や耐水性を備えた革へと生まれ変わります。CONTACT
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