革ができるまで

【革ができるまでの工程】『なめし』〜『再なめし』まで

2017.10.27

革ができるまで なめし

皮は、なめしの工程を経てようやく革に変化します。 製革の要とも言えるなめし工程。 現在主流となっているなめし方法は、フルタンニンなめし、クロムなめし、ヘビーレタンなめしの3種類ですが、それぞれ使用するなめし剤や方法が違ってきます。 ここでは、革ができるまでの工程のうち、『なめし』から、『再なめし』 に至るまでの流れを見ていきましょう。 ※なめす前の工程についてはこちらの記事をご覧ください。 ⇒『【革ができるまでの工程】革をなめす前の下準備とは?』    

革ができるまでの工程: ⑨原皮〜⑫なめし前

 

⑨なめし

  なめしとは、皮のコラーゲン繊維になめし剤を結合させて、耐熱性、耐久性を備えた素材に変化させることです。 クロムなめしでは、塩基性硫酸クロム塩という薬品を使用します。 大きなドラムの中になめし剤と皮を入れて回転させ、皮になめし剤を浸透させます。 通常24時間以内になめし終えることができますが、皮の状態や気候などによって薬剤の濃度や回転時間などを調整する必要があります。 フルタンニンなめしでは、植物から抽出されたタンニン(渋)を使用します。 大きな水槽に濃度の違うタンニン液を用意し、順に漬け込んで浸透させるピット製法と、ドラムの中にタンニン液と皮を入れて回転させ、皮に強制的にタンニン液を浸透させるドラム製法があります。 なめしに必要なスペースや時間などの関係から、現在はドラム製法が主流です。 ※なめしの詳しい内容についてはこちらの記事をご覧ください。 ⇒『鞣(なめ)しの意味や役割は?代表的な鞣しの種類も紹介。』    

⑩水絞り・選別

  なめし終えた革に残った余分な水分を搾り出します。 水分量を調整して、次のシェービング工程に備えます。 絞った後は、革の品質をチェックします。銀面の状態やキズなどの具合を見て革を等級に分けます。    

⑪シェービング

  革の肉面側を回転するロール刃で削って厚さを調整する工程です。 厚さは、製品革や次の再なめし工程後の仕上がりを予測して行います。 一定の厚さにするには職人ならではの技術力が必要とされます。    

⑫再なめし

  前のなめし工程とは別のなめし剤を使用して再びなめします。 使用用途に適した革を作り出すために必要な工程です。 衣料や靴、袋物用の革を作る際には、クロムなめし後の革に、合成のなめし剤や天然の植物性タンニン剤を使用して再度なめします。 こうすることで、革の用途に応じた特性を与えることができます。 このように異なる複数のなめし剤を使用するなめし方法を、ヘビーレタンなめし(コンビネーションなめし)といいます。    

まとめ

  なめしの方法は、革の用途や求められる性質によって変わります。 皮の状態を見極めて、なめし方法を決め、なめし剤の濃度や時間を調整して最適ななめしを施す。 出来あがる革の手触りや風合いに大きく影響する工程であるからこそ、なめしにはタンナーの確かな知識や技術力が必要不可欠となってくるのです。
投稿者: ごとう製革所
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