鞣(なめ)しの意味や役割は?代表的な鞣しの種類も紹介。
2017.09.15
革を柔らかくすると書いて鞣(なめし)という漢字になるように、皮が革に生まれ変わるには、これからお話する「なめし」の工程が必要不可欠です。
肉厚で耐久性に優れた革、しなやかで手触りが良い革、発色のよい革など、求める性質によってなめし方は変わってきます。
今回は、製革において重要な工程である鞣しについて、その基本的な知識や代表的な種類をご紹介します。
それでは、早速見ていきましょう。
鞣しとは?
鞣(なめ)しとは、「皮」のコラーゲン繊維と「なめし剤」を結合させることによって、安定した 素材へと変化させることです。
なめすことによって、「皮」は、耐熱性を備え、腐りにくく、柔らかくしなやかな「革」へと生まれ変わります。
現在主流となっているのは、フルタンニンなめし、クロムなめし、ヘビーレタンなめしの3種類のなめし方です。
それぞれの特徴は以下でご紹介しますが、なめし方が違うということは、その手順や方法、使うなめし剤の種類も異なるということになります。
そして、このなめしの方法は、人間の生活の変化に伴い、これまでにも様々な進化を遂げてきました。
そこで、次に少しだけ、なめしの歴史をたどってみたいと思います。
歴史に見る鞣し
皮革の歴史は古く、今から200万年前の旧石器時代に遡(さかのぼ)ります。
当時の人たちは、寒さや衝撃から身を守るため、狩猟で得た動物の皮を剝(は)いで利用していたそうです。
はじめの頃は、乾燥させた固い皮を、もんだり、叩いたりして柔らかくしていただけでしたが、それではすぐに皮は腐ってしまい、使えなくなってしまいます。
さらに、ただ固いだけの皮は使い勝手も悪く、とても防寒具以外の用途に使えるような代物ではありません。
そこで、皮をもっと腐りにくく、色々な目的で使えるようにするために、先人たちは様々な知恵を絞りました。
そうして、生まれたものが魚や動物の脂に漬ける油を塗り込む油なめしや、皮に植物を燃やした煙にあてる燻煙(くんえん)なめし、草木の樹皮などに漬ける植物タンニンなめしなど、様々ななめし技術です。
中でも、植物タンニンなめしは、現代においても主流のなめし方の一つとなっています。
他にも、日本古来の伝統的な皮革としては、牛皮を塩と菜種油でなめした姫路白なめし革や、鹿皮を加工した甲州印伝革なども挙げられます。
このように、革は古くから人間の生活に欠かせないものであったことが分かります。
次にご紹介する3つのなめし方法も、そんな様々な試行錯誤の中から生み出されたもの、と言えるでしょう。
代表的な3種類のなめし方
それでは最後に、現在主流となっている3種類のなめし方についてご説明します。
フルタンニンなめし(通称:フルタン)
※ドラム製法では写真のようなドラムを使用して鞣します。
植物から抽出されたタンニン成分(渋)をなめし剤として使用する、古くからある伝統的ななめし方法です。
皮の中心までタンニンを浸透させるため、濃度の違うタンニン液に順に漬けこむ必要があります。
大きな水槽に濃度の違うタンニン液を用意して順に漬けこんでいくピット製法、そしてドラムを使用するドラム製法の2つの製法がありますが、現在はドラム製法が主流です。
全部で30以上の工程があり、なめすのに数か月かかることもあります。
特徴
堅く、丈夫な革が出来上がります。染色しやすく、吸湿性に富みます。
成形性に富み、使い込むほどに馴染み、艶がでます。
利点
植物性のなめし剤を使用するため、製造過程で有害物質がほとんどでません。
特にヌメ革は、廃棄されても地中で微生物等に分解されるため、環境に優しい素材として近年注目されています。
主に使用されている製品
靴底や中敷きの皮、紳士用鞄、財布など。
クロムなめし
※クロムなめしを施した原皮。クロム塩の青色をしていることから、『ウェットブルー』と呼ばれます。
塩基性硫酸クロム塩という化学薬品をなめし剤として使用します。
通常、タイコと呼ばれる大きなドラムの中に皮とクロム剤を入れてまわします。
世界中の革の約80%はクロムなめしと言われています。
特徴
耐熱性や柔軟性、伸縮性に富み、発色も良いです。経年変化は控えめ。
利点
フルタンニンなめしと比べると、なめし時間が短いために大量生産しやすく、費用も抑えることができます。
色々な加工を施しやすいといったメリットがあります。
主に使用されている製品
野球グローブ、靴や鞄、洋服、車のシート、ソファなどのインテリア用品など。
ヘビーレタンなめし
コンビネーションなめし、複合なめしとも言われ、複数のなめし剤を使用します。
例えば、クロムなめしをした後に、再度タンニンでなめすなどの工程を踏みます。
なめし剤の比率によって出来上がる革の性質は様々ですが、双方の良い所をあわせた革を作ることができます。
特徴
クロムなめし革の丈夫さやしなやかさと、フルタンニンなめし革の経年変化しやすい性質を兼ね備えた革など、単独のなめし剤では得られない性質の革を作ることができます。
利点
クロムなめしと同等程度のコストで作ることができます。
必要とされる革の性質や目的にあわせて複数のなめし剤を組み合わせます。
さまざまな性質や特徴をもった革を作り出すことができます。
主に使用されている製品
鞄や衣類などの服飾用品など
まとめ
今回は、「なめし」についてご紹介しました。
なめし方によってかかる費用や時間も変わったり、何より、出来あがる革の性質が変わることがなめしの奥深いところです。
なめしには、使う動物の種類や原皮の良し悪しに加え、タンナーの知識や経験といった技術的な面も重要です。
原皮の特徴や、革に求める要素にあわせて、最適ななめし方法を選択することで、良い状態で長く使い続けられる革を作り出すことができるのです。
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