革の色の染め方を紹介!染料仕上げと顔料仕上げの違いとは?
2017.12.01
ブラック、ブラウン、キャメル・・・みなさんが普段目にする革製品には、様々な色が施されていますよね。 実は、革という素材は、その着色方法によっても仕上がりに違いが生まれます。 現在、革の色に関する仕上げ方法には、染料仕上げと顔料仕上げの2つの種類があります。 今回は、この2つの方法の違いと、それぞれで着色された革の特徴についてご紹介したいと思います。
染料仕上げと顔料仕上げ それぞれの意味
まずは、染料仕上げと顔料仕上げ、それぞれの意味やメリット、デメリットについて見ていきましょう。
染料仕上げとは?
染料仕上げは、染料を使用して革の繊維を染めあげる方法です。 アニリン染料を使用することから、アニリン仕上げと呼ぶこともあります。 透明感のある薄い膜で表面を覆うため、革が本来持つ表情(しわ、キズなど)が楽しめます。 カーフ(生後6ヶ月くらいまでの子牛皮)など、キズの少ない高級革には、染料仕上げが多いです。
染料仕上げのメリット
キズやシワ、チスジといった革独特の自然な表情が見え、使い込むと色や艶が変化しやすく、革らしさを楽しめる仕上がりになっています。 爪などでひっかいて傷が付いても、使用するうちに目立たなくなります。
染料仕上げのデメリット
本革らしさを楽しめますが、取り扱いには注意が必要です。 耐水性は低く、水や汗でしみになってしまうこともあります。 また、洋服などにすれると色落ちもしやすいのも難点です。
顔料仕上げとは?
顔料仕上げは、顔料を使用して皮革の表面にペンキを塗るように色を着ける方法です。 キズなどが目立つ革によく使用される方法です。 顔料仕上げの革で作られた製品は、購入時のきれいな状態を長く保つことができるため、女性用の鞄などに多く使われています。
顔料仕上げのメリット
染料仕上げと比べると、塗膜が分厚いためキズやシワといった革の特徴は覆い隠されます。鮮やかな色味が出やすく、均一的できれいな表面に仕上がります。ある程度撥水性もあり、キズなども付きにくく、ほとんど色落ちしません。
顔料仕上げのデメリット
きれいな表面や色味が長続きしますが、革特有の表情を隠してしまうため、革らしさは幾分損なわれます。上に塗った顔料に隠されるため、経年変化は見えにくいです。
染料仕上げと顔料仕上げ どちらを選ぶべき?
結論から言うと、革製品に何を求めるのかによって、どちらの染め方の革が適しているのかが決まってきます。
『使い続けるほどに美しい風合いを醸し出す』という革製品の醍醐味を楽しむなら、染料仕上げの革が適しているでしょう。
ただし、キズやシワといった革本来の表情や、革を育てる感覚を楽しめる分、しみや色落ちなども起こりやすく、取り扱いには少し注意が必要です。
一方で、きれいな色味や新品の状態を長く楽しむなら顔料仕上げの革が適していますが、革独特の経年変化はあまり期待できません。
求める革製品の雰囲気や、見た目、使い方などを踏まえて、それに適した染め方の革を選ぶことが大切です。
近年、中国など世界の国々で革製品の消費が高まっていることから、海外・国内ともに、状態の良い原皮の流通量は年々少なくなってきています。
革本来の風合いを活かせる染料仕上げには、状態の良い原皮が必要不可欠です。
そのため、染色仕上げの革の希少価値はますます高まっています。
もちろん、製品によっては顔料仕上げの革が最適な場合もありますので、一概にどちらが良いと決めることはできません。
染料仕上げと顔料仕上げ、それぞれをうまく組み合わせることで、お客様が求める革の風合いや色味を表現すること。
それも私たちタンナーの役割です。
まとめ
今回は、革の染料仕上げと顔料仕上げについて、それぞれの革の特徴をご紹介しました。
基本的に、革製品は長く使うことが多いもの。
決してどちらの染め方が良いというわけではなく、求めるイメージに合った染め方の革を選ぶことが、長く革製品を楽しむコツなのかもしれません。
もし次に革製品を選ぶ時には、ぜひ革の着色方法にも注目してみてくださいね。
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