原皮の意味や種類とは?
2017.09.08
財布や鞄、靴、家具、スポーツ用品など、『革』は生活の中でさまざまな用途に使われています。
柔らかく手触りの良いものから、分厚く丈夫なもの、摩擦に強いものなど、動物の種類や雌雄、年齢などによって出来上がる革の種類も多岐にわたります。
革を育てる、という言葉があるように、経年変化によって表情が変わっていくのも、革製品の魅力の一つですよね。
では、さまざまな製品として使われている革は、一体どのような工程を経て作られているのでしょうか?
今回は、製革の基本となる「原皮(げんぴ)」についてご紹介します。
原皮とは?
動物の皮は、肉と同様に、放っておくと腐ってしまいます。
そのため、剥いだ後の皮に付いている肉や脂肪を取り除き、塩漬けにしたり、乾燥したりして腐らないようにして保管します。
これらの防腐処理が施された皮を「原皮(げんぴ)」と呼びます。
原皮は、その重さによってさらに二種類に分類されます。
成牛皮や馬皮など25ポンド以上の厚みがあり、大きく重たい皮をハイド(hide)と呼び、子牛皮や羊皮などの薄くて軽い皮をスキン(skin)と呼んで区別します。
ハイドについて
ハイドは、成長した牛や馬の皮ですので、一頭あたりから採れる面積は大きいです。
そのため、革ジャンなどの衣類や、ソファなど面積が大きいものを作る際に重宝されます。
代表的なものが、「ステアハイド」という生後2年以上経った、去勢済みの雄牛の革です。
牛革・本革といった表記の品物のほとんどが、このステアハイドで作られています。
スキンについて
スキンは、子牛や豚、羊など比較的小さな動物の皮ですので、一頭あたりから採れる面積は小さいです。
薄くて軽く、柔らかいものが多いですが、価格が高いため、高級品によく使用されています。
ハイブランドの財布は、カーフスキンという生後6か月までの子牛の皮で作られていることが多いです。
ここまでが、原皮の基本的な意味についてです。
次に、皮と革の違いについて見ていきましょう。
皮と革はどう違う?
「皮」と『革』。
その違いは簡単に言ってしまえば、次の通りです。
・動物の体から剥がしたそのままの状態のもの → 「皮」
・皮を加工して製品に使える状態にしたもの → 『革』
先に書きましたが、皮に防腐処理を施したものが原皮です。
原皮は、動物の血液や体毛が付いたままの状態のため、このままでは当然製品には使えません。
原皮から余分な物を取り除き、柔らかくして製品に加工しやすくするのが、「なめし」という工程です。
このなめしの工程を経て「皮」は、『革』へと生まれ変わります。
そしてこの変化の工程を担うのが、私たちタンナーの役目です。
それでは、最後に主な原皮の種類に一覧についてもご紹介しますね。
主な原皮の種類一覧
牛(カウ、Cow)
皮革製品の中で最もポピュラーなもの。
生育年数や性別、部位によって、繊維が細かく柔らかいものから、繊維が粗く、肉厚で硬いものまで、さまざまな風合いの皮があります。見た目も美しく丈夫です。
代表的なものは、先ほどご紹介したステアハイドが挙げられます。
鞄、靴、ベルト、財布、衣類、その他幅広い用途に使用されています。
水牛(バッファロー、Water Buffalo)
牛革に比べて繊維組織のきめが粗く、肉厚なのにしなやかで加工しやすいのが特徴です。
鞄、ベルト、財布などに使用されています。
馬(ホース、Horse)
牛革に比べて厚みはなく強度は劣りますが、その分柔軟性があります。
特に、農耕馬の臀部(でんぶ)から採れる革はコードバンと呼ばれ、繊維が緻密で硬く、美しい光沢を放ちます。
生産量が限られていため、高価なことも特徴です。
靴、鞄、ベルト、財布などに使用されます。
羊(シープ、Sheep)
通常の毛皮とは違い、毛を内側に向けて使用するのが特徴です。
薄くて柔らかく、キメが細かい皮を持ちますが、繊維が荒いため、強度を必要とする皮革製品には不向きです。
特に、生後1年以内の仔羊の革はラムスキンと呼ばれ、高級品に分類されます。
また、毛足を残したまま加工されたものは、ムートンと呼ばれ、コートやブーツなどに使用されています。
その他にも、鞄、衣類、手袋、帽子などに使用されます。
豚(ピッグ、Pig)
摩擦に強く、通気性も良いことが特徴です。
そのため、靴の中敷きなどにも用いられます。
その他、鞄、ベルト、衣類、財布などにも使用されています。
まとめ
今回は、製革の第一歩となる原皮について、そして「皮」と『革』の違いについてもご紹介しました。
原皮にもさまざまな種類のものがありますので、今度革製品を見る時にはぜひチェックしてみてくださいね。
なお、革製品は、何を作るのか、どのような用途に使用するのかによって、原皮の選び方、そして”なめし方”も違ってきます。
次回は、原皮の状態から、「皮」が『革』に生まれ変わるまでの、「なめし」の工程について詳しくご紹介したいと思います。
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。
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