革ができるまで

【革ができるまでの工程】革の仕上げ工程をさらに詳しく

2017.11.03

革ができるまで 仕上げ

なめしの工程を終えると、最終段階の仕上げの工程へと進みます。 仕上げとは、革に塗装や塗膜を施したり、着色したりして革の表面を保護すると同時に、見た目や風合いを高める作業。 簡単に言えば、「革に施すお化粧」のことです。 革に求められる品質によって仕上げの方法も違ってきます。 今回は、最後の仕上げに向かうまでの製革工程について、順番にご紹介したいと思います。    

革ができるまでの工程: ⑬染色・加脂〜㉒アイロン・型押し

 

⑬染色・加脂

  染色は、染料を使用して革に色を付けることです。 革と染料液をドラムの中に入れ、回転させて染色するドラム染色が一般的。 色調の調節(色合わせ)には技術力が必要とされています。 加脂は、油脂を加えて革を柔らかくすることです。 これによって光沢や耐水性を与えることができます。    

⑭セッティング

  セッティングマシンという機械を使って、染色・加脂を施した革の水分量を減らし、同時に革を伸ばして表面をなめらかにして形を整える作業です。 次の乾燥の工程に向けて、ここでしっかり水分を取り除くことが大切です。    

⑮乾燥

  革ができるまで 仕上げ   革の水分を取り除き、乾燥させます。 なめし剤や染料、加脂剤を革に定着させる目的もあります。 屋内や屋外の風通しの良い場所で自然乾燥させる方法の他に、真空乾燥機などの機械を使用する方法もあります。    

⑯味取り

  乾燥させた革の水分量を調節する作業です。 乾きすぎている部分に適当な水分を与え、次のステーキング作業で革を揉みほぐしやすい状態にします。    

⑰ステーキング

  乾燥することでこう着したコラーゲン線維をほぐし、革を柔らかくする作業です。 バイブレーションステーキングマシンやドラムを使用して空打ちすることで革を十分に揉み解します。 柔軟性や弾力性を与えることができます。    

⑱ネット張り乾燥

  革ができるまで ネット張り乾燥   ステーキングを施した革が収縮しないように、クリップを使ってネットに張り付け、平らな状態にして乾燥させます。 革をのばしてしわをとり、形を整える狙いもあります。    

⑲銀むき

  銀面にサンドペーパーをかけて薄く削る作業です。 ガラス張り革やヌバックなどを作る際に行います。 銀面のキズや汚れなどが除去されるほか、毛穴がつぶれるため、なめらかになります。 銀むきした革に残った革の粉塵は、ダストリムーバーを使って取り除きます。    

⑳塗装

  銀面に塗料を塗布する作業です。 スプレー塗装機や、ロールコーターなどに機械を用いて塗装をすることで、色を付けたり、艶をだしたりして外観を整えます。 また、革に耐久性を与えることもできます。 (この記事の始めにお伝えした「革のお化粧」ですね) 革の種類や状態によって、塗装方法は異なります。    

㉑艶出し

  革の表面を磨き、艶を出す作業です。 ポリッシングマシンやグレージングマシンなどの機械を使います。 機械の中には、ガラスやメノウなどの石やフェルトなどがセットされており、摩擦熱を加えることで上品な光沢を与えることができます。    

㉒アイロン・型押し

 

アイロン

  最後にアイロンがけを行うことで、革を伸ばすとともに表面に艶を出し、なめらかにすることができます。 また、塗膜を革に定着させる効果もあります。 プレスアイロンやロールアイロンといった機械を使用するほか、手アイロンで行うこともあります。  

型押し

  型押しは、模様を刻印した金属面を皮革の表面に押し当て、熱と圧力をかけることで革に型を付ける作業です。 オーダーに応じてさまざまな模様をつけます。    

まとめ

  今回は、染色から最後の仕上げまでの工程をみてきました。 この後、出来あがった革の色合いや品質を丁寧に検査します。 厚みや風合い、手触りなどもチェックした後、計量して出荷されていきます。これですべての製革工程が終了です。 原皮の状態から、なめし、染色、仕上げなど、動物の皮が革になるまでには、みなさんが想像した以上に細かく、たくさんの工程があったのではないでしょうか。 製革工程には、原皮の状態に加えて、気候や湿度などの条件も関ってくるため、同じものは一枚として出来上がりません。 良い状態で長く使い続けられる革を作るために、また、求められる色や風合いを表現するために、私たちタンナーは日々革と向き合っています。
投稿者: ごとう製革所
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