革靴の革の種類と加工方法は?
2017.12.15
今回は革靴に使われる革の種類とその加工方法についてご紹介します。
一言に革靴と言っても、どの場面で使用するのかによって、見た目や質感、耐久性など革に求められる機能はさまざまです。
長時間履く場合には、見た目よりも耐久性が、フォーマルな場面では、耐久性よりも見た目や質感の方が求められます。
そんな革靴には、何の革が使用されているのでしょうか?
革靴に使われる革の種類は?
バッグや財布と同じく、靴には様々な種類の革が使用されています。
ここでは、革靴の定番である牛革や馬革と、豚革、ワニ革を取り上げてそれぞれの特徴についてご紹介します。
まずは、牛革からみていきましょう。
牛革
皮革素材の代表格である牛革。
供給数が安定していることや、見た目が美しいことから、靴だけでなく幅広い製品に使用されています。表面がキメ細やかで、適度な厚みと耐久性があるのが特徴です。
牛革は、飼育年数や雌雄の違いによっていくつかの種類に分けられています。
革靴によく使用されるのは次の4種類です。
カーフスキン
生後6ヶ月程度の子牛から採れる皮です。
緻密な繊維構造を持ち、表面がなめらかで柔らかいのが特徴です。
牛革の中で最も上質かつ高級とされる素材です。
キップスキン
生後6ヶ月~2年以内の中牛から採れる皮です。
カーフよりも厚みがありながらも、表面はなめらかです。
カウハイド
生後2年程度の、出産を経験した雌牛の皮です。
ステアハイドと比べると薄く、表面は決め細やかです。
ステアハイド
生後2年程度で、生後3ヶ月~6ヶ月の間に虚勢された雄牛の皮です。
カーフやキップに比べると表面のキメ細やかさは劣りますが、その分厚みがあり丈夫です。牛革の中で最も使用されているのがこのステアハイドです。
牛革の中では、この4種類が革靴によく使用されます。
カーフスキン、キップスキンは高級靴のアッパー素材として使用されることが多いです。
最もポピュラーなステアハイドは耐久性に優れ、男性用ビジネスシューズを始め、様々な種類の靴に使用されており、革靴の定番素材と言えるでしょう。
馬革
牛革に次いで革靴に多く使用されているのが馬革です。
中でも高級とされるのが、農耕馬のお尻の部分から採れるコードバン。
表面はキメ細やかで、使い込むうちに独特の艶がでてくるのが特徴です。
また、コードバンの耐久性は牛革の2~3倍とも言われており、美しさと耐久性を兼ね備えた革と言えます。
コードバンで作られた革靴は足なじみがよく、履き皺(シワ)がきれいに現れるのが特徴です。
豚革
豚革は、表面に三角形に並んだ毛穴の跡が見られるのが特徴です。
通気性が良いため、靴のアッパーよりも、裏革や中敷等にも多く使用されています。
豚革の裏面を起毛させたピッグスエードは、なめらかな手触りやあたたかみのある表情が特徴で、カジュアルシューズによく使用されています。
ワニ革
エキゾチックレザーの代表格であるワニ革。
凹凸のある独特のウロコ模様が特徴です。
特に、クロコダイル革は見た目の美しさと圧倒的な存在感から人気のある革です。
牛や馬、豚と比べると、天然にしろ養殖にしろ圧倒的に生息数が少ないために希少で、高級皮革に分類されます。
その独特な表面の模様を活かすために、ほとんど加工されないことも多いたことから、クロコダイルの革の靴はビジネスやフォーマルには不向きと言えそうです。
その上、お手入れを怠ると艶がなくなってしまったり、水濡れに弱かったりと何かと扱いが難しい革ではあるのですが…
それでも手に入れたいという人が多い、不思議な魅力がある革と言えます。
革靴に使われる革の加工方法
次に、革靴を選ぶときによく耳にする加工方法についてご紹介します。
革の加工は、革の見た目や質感から、取り扱い方法にも関わってきます。
スムースレザー
革靴だけでなく、皮革製品を選ぶときに一番耳にするのが、スムースレザーという言葉ではないでしょうか。
スムースレザーとは、その名の通り表面がなめらか(スムース)な革のことです。
そのため、スエードなどの起毛革や型押し革は含まれません。
スムースレザーとしては、銀付き革とガラス張り革の2種類が挙げられます。
銀付き革
革の表面(銀面)を活かした革のこと。表面にほとんど加工を施さない素上げ革や、染料仕上げの革などを指します。
革の表面をそのまま使用するので、キズやシワが多い革は使えないため、高級素材と言えます。
使い込むうちに表情が変化し、艶が出るといったエイジングを楽しむことができます。
その反面、色落ちや水濡れなどに弱いためデリケートです。
牛革では、カーフやキップなどによく使われる加工方法で、高級靴に多く使用されます。
ガラス張り革
ガラス革とも呼ばれます。
主に牛革をなめした後、表面が平滑なホーローや金属板に特殊な糊で貼り付けて乾燥させます。
さらに、そこから銀面(革の表面)を軽く取り除いて、塗料を塗って仕上げます。
ガラスバ張り革は表面が荒かったり、損傷が多い革でも綺麗に仕上げることが出来ます。
光沢があり塗装も施されているので、丈夫で汚れにも強いです。
その反面、経年によるエイジングは期待できません。
エナメル革
革の表面にエナメル塗装を施した革のことです。
パテントレザーとも呼ばれます。
塗装には、ウレタン樹脂などが使用されます。
表面を分厚くコーティングしているため、ある程度の防水性、耐久性を備えています。
光沢が美しいことから、フォーマル仕様や、女性用の靴に多く使用されます。
スエード
子牛や羊、豚などの小動物の革の、裏側(肉面)をサンドペーパーで磨いて起毛させた革です。
あたたかみがあり、柔らかな風合いが特徴で、カジュアルシューズや、ブーツ、スニーカーなどに使用されます。
ヌバック
スエードとは反対に、革の表面をサンドペーパーで軽く磨いて起毛させた革のことです。
スエードに比べると見た目が繊細で、毛足は短くきめ細かいです。
上品な見た目ですが、革に厚みがあるため丈夫です。
オイルを染み込ませて耐水性を持たせたオイルドヌバックは、アウトドア用シューズなどに使用されています。
シュリンクレザー
熱や薬品を用いて、革の表面を収縮(シュリンク)させて模様(シボ)を強調した革のことです。
こうすることで、表面のキズが目立ちにくくなり、柔らかくなります。
比較的カジュアルな靴に使用されることが多いです。
まとめ
革靴に使われる革の種類と加工方法についてご紹介しました。
耐久性や見た目の面では、やはり牛革と馬革が定番ですね。
特に牛革は、様々な加工方法で見た目や質感も変わり、ビジネスからフォーマル、カジュアルなど幅広い種類の靴に使用されています。
バッグや財布と同様に革靴を選ぶ際には素材や加工方法もチェックしてみてくださいね。
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