革の基礎知識

牛革が身近な革である理由とは?牛原皮の種類も紹介!

2017.09.29

牛革 原皮 種類

様々な原皮の種類がある中で、もっともポピュラーな革といえば、やはり牛革ですよね。

「本革=牛革」と言ってもいいくらいに、私たちにとって身近な革と言えるのではないでしょうか?

今回は、そんな牛革の原皮のことを取り上げてみたいと思います。
 
 

なぜ牛革は皮革素材の主流なのか?

 
古くから家畜として人間の生活に関わってきた牛ですが、皮革製品の主流となっているのには、どのような理由があるのでしょうか?

それにはまず、牛は世界中で多く飼育されていることから、牛の皮の供給量が安定していることが挙げられます。
加えて、牛一頭から採れる皮の面積が大きいこと、さらに牛の皮は皮膚線維組織が比較的均一で丈夫なことも大きな要因です。

牛革は、柔らかい子牛革や、成牛の頑丈な革など、生育年数や雌雄などによっても様々な性質の革を作ることができます。
そのため、使用用途も幅広いのですね。

では、次に牛革を作るための原皮について見ていきましょう。
 
 

原皮はどこからやってくる?

 
原皮の約8割は、北米、オーストラリア、ヨーロッパ、東南アジアなどから輸入されています。
もちろん国産の原皮もあります。

国内で生産される原皮は地生(じなま)と言われ、和牛ホルスタイン種が主です。

和牛は一毛(ひとけ)と呼ばれ、これは毛色が一色(黒毛、褐色)のため。
ホルスタイン種は白と黒のぶちでおなじみの牛です。

一言で牛と言っても、品種も様々ですし、海外と日本ではその飼育方法も異なります。
日々原皮と触れ合う中で、海外産の原皮は国内産のものと比べて、革の表面となる銀層が厚く、繊維密度も高めだと感じています。

国内産でも、和牛は比較的銀層が厚く、海外産のような繊維密度をしています。

分厚く固い革を作りたいのであれば海外産の原皮を使用する、といったように、求められる革の特徴に応じて最適な原皮を選ぶのも、タンナーの役割の一つです。

それでは、最後に牛原皮の種類についてご紹介します。
 
 

牛原皮の種類

 
原皮の意味や種類とは?」の記事でもご紹介しましたが、牛原皮は、25ポンド以上ある厚くて重い皮のことをハイド、子牛皮などの薄く手軽い皮をスキンと呼んで区別します。

牛革は、牛の生育年数などによって出来上がる革に特徴があることから、さらに細かく分類されます。

ここでは、それぞれの特徴と主な用途を見ていきましょう。
 
 

カーフスキン(Calf skin)

  カーフスキン

 
生後6ヶ月くらいまでの子牛の皮。
 

特徴

 
人間の肌と同様で、成牛に比べるとしなやかで、柔らかいのが特徴です。
もともとの傷も少なく、牛革の中でも最も高品質な素材とされています。
銀面は薄く、非常にデリケート。
1頭から採れる面積も小さく、まさに高級素材と呼べる革です。
 

主な用途

 
鞄、革小物など
 
 

キップスキン(Kip skin)

  キップスキン

 
生後6ヶ月〜2年以内の中牛の皮。
 

特徴

 
カーフスキンよりも繊維の密度が高いため、薄いですが丈夫です。
成牛に比べると銀面はなめらかで柔らかく、牛革の中ではカーフに次いで高級素材とされています。

高級ブランドの革製品用いられることも多いです。
 
 

主な用途

 
鞄、靴、小物類
 
 

カウハイド(Cow hide)

  カウハイド

 
生後2年程度の出産を経験した成牛の雌の皮。
 

特徴

 
雌牛の皮のため、厚さは雄牛ほどではなく、やや柔らかいです。
カーフスキン、キップスキンと比べると厚みがあり丈夫と言えます。
幅広い用途で使用されている、ポピュラーな素材と言えるでしょう。
 

主な用途

 
鞄、靴、衣類、小物類
 
 

ステアハイド(Steer hide)

  ステアハイド

 
生後2年程度で、生後3~6ヶ月の間に去勢された雄の成牛の皮。
 

特徴

 
去勢されて育つため、傷などが少ないです。
カーフやキップには劣るものの、銀面はきめ細やか。
厚みが均等で丈夫なため、様々な用途に使用されます。

牛革の代表的な素材』と言われ、私たちがよく目にする「本革」と表記されているもののほとんどが、
このステアハイドとも言われています。
 

主な用途

 
鞄、靴、衣類、小物類
 
 

ブルハイド(Bull hide)

  ブルハイド

 
生後3年以上経過した、去勢されていない繁殖用の雄の皮。
 

特徴

 
牛革の中で最も固く、厚みもあり丈夫ですが、きめは荒く、柔らかさはありません。
去勢されずに育つため、傷なども多く見られることから、その用途は限られてきます
 

主な用途

 
靴底、工業用素材
 
 

まとめ

 
今回は、もっとも身近な皮革素材である牛革にスポットライトを当ててご紹介しました。

原皮の安定した供給量はもちろんのこと、
高級品から汎用品まで、様々な用途に合わせた革質を表現できることも、牛革が身近になっている理由と言えるでしょう。

もし今度牛革の製品を手に取る時は、どんな種類の牛革を使っているのか意識してみると面白いかもしれませんよ。

このブログでは今後も牛革の魅力について取り上げていく予定ですので、お楽しみに。
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。

投稿者: ごとう製革所
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