『素上げ』革とは?その特徴や魅力をご紹介します!
2017.10.13
今回は仕上げの記事でも少しご紹介した「素上げ」について、その特徴や魅力についてご紹介します。
素上げ革はナチュラルレザーとも呼ばれ、革本来の風合いを好む方に人気の革です。
では、素上げ革とは具体的にどのような革なのでしょうか?
詳しく見ていきましょう。
素上げ革とは?
素上げ革とは、染色した後の革に着色剤や仕上げ剤などの薬品をほとんど使用しないことで、革独特の表情を残したまま仕上げる革のことです。
製革の最終工程で行われる仕上げは、いわば革に施すお化粧のようなもの。
仕上げにはたくさんの種類がありますが、その中でも素上げは、限りなく革の「素」に近い状態に仕上げた革、だと言えます。
素上げ革の魅力
素上げ革の魅力を一言で言うと、革のナチュラルな風合いや個性を楽しめるところです。
一般的な革は、着色剤や仕上げ剤を使用して革の色落ちを防いだり、表面のキズやシワを隠したりしています。
そうすることで革が長持ちするように感じるかもしれませんが、実は塗料や塗膜などで革の表面を覆ってしまうと、革本来が持つ自然な風合いは損なわれてしまいます。
その点、素上げ革は塗料などで覆われていない分、色落ちやシミになりやすいといったデメリットはあります。
ただし、そのおかげで使い込むほどに深まる色味や艶などのエイジング(経年変化)を楽しんだり、革本来の持つ表情や質感を感じることができるようになるのです。
では、素上げ革に見える”革の表情“とはどういったものがあるのでしょうか?
素上げの革に見える『革の表情』とは?
革は、もともとは動物の皮膚だったものを加工した天然素材です。
そのため、その動物の育ってきた環境や部位による特徴などが革の表情となってあらわれます。
革の表情の例としては次のようなものがあります。
バラキズ
生前の怪我や虫刺されなどの傷跡です。
トラ
革の”シワ”。
首や肩、脇の下などの屈曲していた部位に多いです。
チスジ
皮膚の下を通る血管の跡がそのままあらわれたもの。
シボ
革を作る工程で揉んだり縮ませたりすることでできる、立体的なシワのことを指します。
シボのように革を作る工程でできるものを除けば、これらの特徴はすべてその動物が生きた証です。
一頭一頭違う動物の生きた証はそのまま革の個性になり、一枚として同じ革はできません。
これも、革という素材の魅力の一つと言えるでしょう。
上質な素上げ革が少ない理由
ここまで見てきたとおり、素上げ革は、革の「素」がみえてしまう分、素材の良し悪しがそのまま革の仕上がりに関わってきます。
一枚として同じ状態のものはないからこそ、安定した品質の素上げ革を作り出すことは難しくなります。
上質な素上げの革を生み出すためには、原皮の状態を見極め、一枚一枚に最適な素上げを施す確かな革職人の技術力が必要不可欠。
いわば、優れた『素材』と『技術』の両方が揃った時、初めて上質な素上げの革が生まれるのです。
ただし、革の風合いや見た目など、熟練の革職人の厳しい目をクリアできる革は、そう多くはないのが現状です。
そのことが、上質な素上げ革が希少になっている理由なのでしょう。
まとめ
今回は、素上げ革の特徴と魅力についてご紹介しました。
革は天然素材のため、一枚として同じものはありませんが、中でも素上げ革は、製法がシンプルなためごまかしがききません。
私たちも創業以来、素上げ革をメインに取り扱ってきた経験から、その大変さは身にしみて感じています。
良質な原皮の選択に始まり、なめす前の仕込み、なめし、染色、仕上げ、検品といったすべての工程で、革の状態に意識を集中させること。
そういった、革職人たちの地道で真摯な取り組みと熟練の技術があってこそ、自然な風合いやタッチ感、表情を楽しめる素上げ革が生まれるのです。
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